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腕が少し重い。
っていうか、あったかい。

なんだろ…


「ん……」

目が覚めると自分の部屋。


俺、寝てしまったんだ。


……日和!!!

急いで起き上がると、ベッドにもたれかかるように眠っている日和がいた。


そばにいてくれてホッとしたのも束の間。

時間を見ると23時を回っていた。
やべ!!
おばさん、絶対心配してる!


「日和、起きろ」

何度か声をかけるけど、まったく起きない。


どうしたもんか…



俺はそっと部屋を出て、電話をかける。


「もしもし」

「遅くにごめんな日向」

「いえ。どうしましたか?」

「おばさんに連絡してほしいんだけど。日和、俺ん家にいて寝ちゃってるから泊まらせますって」

「…はぁ!!??なんですか、それ!?」


そりゃ、そうなるよな。
シスコンの日向ならなおさら。


「くそっ…来週なら帰ってるからすぐ迎えに行けたのに…!」

「安心しろって。手は出さないから」

「当たり前です!そもそもなんで日和が足立さん家にいるんすか」

「俺、今日熱出てさ看病に来てくれたんだよ」

「はぁ…」


納得いってねーな、これは。


「来週帰って来るんだろ?その時詳しく話すよ」

「…わかりました。母さんには俺からうまく言っておきます」

「サンキューな」

「絶対手出さないでくださいね?わかってますね?」

「はいはい」


これで、とりあえず大丈夫だな。

さて…起こさないようにベッドに寝かさねーとな。



そっと日和に近づく。

今日、わざわざ来てくれたんだよな。
買い物までして。

ご飯作ってくれて、掃除してくれて、看病してくれて…



これで好きになるな、なんて無理に決まってるだろ。


日和、油断し過ぎ。

俺を男して見てない証拠なのかな。


自分で思って、自分に嫌気がさす。



こんなに近くにいるのに、きみが遠い。


「日和、起きて」

声をかけるけどやっぱり起きない。



そっと日和を抱っこしてベッドに寝かせる。


「ん〜…」

起きるか?


「ひなちゃん…?」

寝ぼけてるのか。


グイッ

いきなり引っ張られて俺は日和の上に倒れ込んだ。



「ひなちゃん、おかえり〜…」

ぎゅうっと抱きしめる日和。


え?
日和、日向とこんなスキンシップしてんの!?

そりゃシスコンなるわ…
ってそんな問題じゃなくて!!!


寝ぼけてるんだから!!
早く離れないと!!!


起きあがろうとした時に下に見える日和の寝顔。

ヤバイ
理性が切れそう。


ギリギリ薄く残ってる理性の線が1本あるだけだと思う。

その1本も簡単に切れるだろう。



「ん……」

俺の下で寝ている日和。

絶対ダメだってわかってるのに。
日向にも言ったのに。


俺は気づけば日和の頬にキスをしていた。


そして、首元に…。