「うめー。まじ幸せ」

「大袈裟ですよ」

「ううん。ほんとに美味しい。ありがとう」


なんだかいつもより少し幼く見える足立くん。
風邪だからかな。


全部食べてくれて、すごく嬉しい。


「汗かいたし風呂入ろうかな」

「今入ると熱がぶり返しますよ」

「大丈夫だよ。あとでちゃんと薬飲むし」


ほんとかなぁ。


「じゃあ、お風呂上がったらすぐ寝てくださいね?」

「はいはーい」

足立くんはお風呂に向かったので、私は洗い物や掃除の続き。


棚にある家族写真。


ご両親、すごく優しそう。
足立くん、小学生ぐらいかな?
なんだか可愛い。



「日和のエッチ♡」

「うわぁ!!」


耳元で急に囁かれてビックリ。


「もう上がったんですか!?」

「それ、俺が小5の時だったかな」


髪をタオルで拭きながら水を飲む足立くん。


「ご両親、優しそうですね」

「そうだね、優しいよ。ただ昔から根っからの仕事人間」

「そうなんですね」

「まぁ、そんな両親が俺は好きなんだけど」


きっとそれも本音。
だけど


この前の寂しさも、きっと本音。


「ちゃんと髪乾かしてください」

「自然に乾くよ、ゴホッ…」

「だから熱が出るんです!」


やっぱり大きな子どもだ。


「じゃあさ…」




ブォーーッ

なんでこうなっているんだろう?
私が足立くんの髪を乾かしている。


「あ〜幸せ〜」

「足立くんはやっぱり大きな子どもです」

「なにそれ〜っゴホゴホ…」


まったく…


「ねぇ日和」

「はい」


「来てくれてほんとにありがとうな。すげー嬉しい」

足立くんの耳が赤くて、照れてる?のかな?
そんな足立くんが少し可愛く見えて、私まで照れてしまう。


「喜んでもらえて私も嬉しいです」


無事髪を乾かして、ベッドに促す。

「早く寝てください」

「眠くない」

「はい?約束と違いますよ」

「もう遅いし家まで送るよ。掃除とかしてくれたお礼もしたいし」


ズイッ

私は足立くんに近づいた。


「それじゃあ意味がないんですよ。また熱出す気ですか?」

「今日の日和はなんか怖いね」

「冗談言わずに早く寝なさい」


渋々ベッドに向かう足立くん。


「じゃあさ、もう一個だけお願い」

「なんですか?」

「帰り心配だから、30分だけ寝てそれで熱が上がってなかったら送らせて?」


む〜〜〜

「じゃないと寝ない…ゴホッ」

咳が説得力をなくすんだけどなぁ。。


「わかりました。ちゃんと測ってくださいね」

「うん!」


不意にうんって言って笑うから、ドキッとしてしまった。

最近、本当に自分がわからなくなる。



やっぱりしんどかったのか、いざベッドに入ると足立くんはすぐ眠ってしまった。


時刻は20時半。

お母さんに少し遅くなる連絡を入れてホッとすると、私も眠気がやってきた。


ウト……