「今から私の事、桜って呼んで!」

「え!名前で呼んでいいの!?」



「うん!私も名前で呼んでいい?」

「もちろん!!日和って言います」

「可愛い名前やなぁ」


ここ最近、今まで無縁だった【可愛い】を言ってもらえる機会が増えた。

やっぱり嬉しい。



「じゃあ、今日から私ら友達ね♪」


友達

トモダチ


ドクンとする




『日和、そんな奴だと思わなかったー』
『今から絶交ね!みんな日和と話しちゃだめだよ』


友達なんて脆くてあっけない。
簡単に壊れる。
そして今までの日なんてなかった事になる。




トモダチ


ドクンドクン




記憶が邪魔をする。




「何があったかは知らないけど」


成田さんが私の手をぎゅっと握ってくれて

「私をそこらへんの奴と一緒にしないで。私が日和と友達になりたいの!信用して」


まっすぐな目に力強い言葉。



私、信じていいよね?
もう一度【友達】を作りたい。




「うん。ふつつか者ですが宜しくお願いします」

そう言った私にぶはっと笑う成田さん。


「ちょっと面白すぎやねんけど!私ら付き合うみたいになってるやん!まぁ、それはそれで悠の反応が面白そうやからええけど、、、」

なんてイタズラに笑う成田さんはやっぱり美人。
そして強くてかっこいい。


「後で学校案内して♪」

「うん!桜ちゃん、お昼一緒に食べよう!」

勇気を出して名前で呼んで、お昼ご飯を誘ってみた。
少しでも、桜ちゃんのように強くなりたくて。



「当たり前やん!だから今は寝て早く体調治しやぁ」

そんな会話をしていると、保健室の先生が戻ってきた。



「じゃ、また後でね」

桜ちゃんは教室に戻っていった。



私に友達が出来た。