「あれ、先生いないやん」

結局成田さんと保健室までやってきた。



「私、大丈夫だから…」

「とりあえず寝たら?顔色悪いで」


成田さんの勧めでひとまずベッドに横になる。



成田さんは近くの椅子に座った。


「成田さん、授業あるし戻ってね」

「先生、戻ってくるまでおるわぁ」


優しい成田さん。

「ありがとう」



優しくて美人な成田さん。
鈴原君と幼馴染みの成田さん。

こんな人に私が敵うわけない。



敵うわけない!?
何を考えてるんだ!!私!!!!

思わず掛け布団で顔を覆った。




少しの間があってから

「悠がごめんね」

成田さんから鈴原君の名前が出て、私は布団から顔を出した。



「どうして成田さんが謝るの?鈴原君、何かした?」


「聞いてた通り鈍感やな!」


????
鈍感って確か昨日鈴原君にも言われた。


「鈍感?私が?」


成田さんは笑いながら

「まぁいいや。とにかくあいつについて周りから何か言われたら私の名前出しといて」

と言った。



私は起き上がって成田さんの方を見た。


「あの、、成田さんと鈴原君ってつ…」

「てつ?」

「いやえっと、、つきあ…」


返事が怖くて聞けない。


「つきあ??」


言わなきゃ!!
でも言えない。


チラッと成田さんを見ると、なんでか笑っている。


「どうして笑ってるの!?」


「ごめんごめん。これじゃ私も悠と変わらへんね!」

さっきから会話が成り立たない。




「前川さんが気にしてるような事はないよ!付き合ってないし、ただの幼馴染み」

私の心を見透かしているかのような答え。


「あんなSな奴、私無理」

S?鈴原君がS??


「S??」
「そ!ドSに近いやん」


ぼぼぼぼぼ

Sの意味がわかって顔が赤くなる。


「鈴原君はSじゃないよ!優しくて笑ってくれて…」


もじもじしていると

「へー。見てみたいかも、そんな悠」

なんだか少し意地悪な笑顔をする成田さん。
そんな成田さんも美人。