はじめは低い所から始まるメロディー。

それが最後は高くなる。


私はここが1番好き。

天国のような響きで、でもどこか切なく感じる。



涙が出る。




演奏が終わると私は号泣していた。



「なんで泣いてるん!?」

戸惑う鈴原くん。


「だって…素敵過ぎて…感動が…」


うまく話せない。
ありがとうって伝えたいのに。


「そんな可愛い事言ってたら、またキスするよ?」

その言葉にハッとして、涙が止まる。


「はは!正直者!!」

そう言って笑う鈴原くん。



「来週からも来てよ」

「いいの?」

「うん。日和に聴いてほしい。」


そう言って頭をポンポンとしてくれた。

私に聴いてほしいだなんて、そんな事言われたら自惚れてしまう。




「来週からは教室の中でな」

嬉し過ぎて言葉は出ないけど、うんと頷く。



「あの!」

「どうしたん?」

いっぱい聞きたい事とかあったのに、今はそんな事より


「この事は…他の子達には秘密で…」

これが言いたかった。

みんなには知られたくない、この時間。
私と鈴原くんだけの時間にしたいって気持ちがたくさん出てきて、この時間を守りたいって思いが止まらない。



「いいよ」

そう言って彼は私の右頬にキスをした。


「わぁ!また!!」

私はパッと離れる


「可愛い事ばっかり言う日和が悪い」

可愛い事??
私、そんな事言ってないよ??


「鈍感な子は大変や〜」

意味不明な事を言い続ける鈴原くん。

????状態の私。


「いいよ、これからも俺らだけの秘密な」

鈴原くんが小指を出す。

「指切りげんまんやん」


その仕草がなんだかすごく可愛くて思わず笑ってしまった。


「うん、指切りげんまんね」

私は笑いながら小指を出すと、なんだか顔が赤い鈴原くん。


「鈴原くん?」

「不意打ちとかも無しな!」

???
また意味がわからない事を言う。



そして指切りをした。

「約束破ったらキスするで〜」

「!!!絶対嫌です!!!!」


来週からどうなっちゃうんだろう。
でも、この秘密が私の宝物になった事は鈴原くんには秘密にしておこう。