ドンッ

あれ?
後ろに人を感じる。

壁に向かって伸びた腕が私の行手を遮る。


こ、、これは

いわゆる壁ドンと言うものでしょうか!!??

こんな事は知っている。


「あれ…えっと…」

それでも、まだ振り向けない私。


無言の間が続く。


「ずるいわ」

「えっ…」

その間を破った彼は私を引っ張る。


ギュッ・・・

気づけば、鈴原くんに抱きしめられていた。



「ちょっと…‼︎あの…‼︎」

離れようとしても、力で到底敵うわけもなく離れられない。

ドキドキがすごくて心臓の音が鈴原君に聞こえてしまいそう。


そして何より、この状況を嫌じゃない自分に驚いている。


私を抱きしめる力が強くなる。

その度に私は離れたくないって思いが強くなる。


この時間が1秒でも長くなんて思っている。


「ありがとう」