5時間目、6時間目と授業が進んでいく。

でも、私は上の空。

何も頭に入ってこない。



「日和」

頭の中でずっとリピートされる鈴原くんの声。


私、やっぱりおかしい。
この感覚は一体なんなんだろう。


いや、わからないようにしているだけかもしれない。
わかりたくない気がしている。


そんな事を考えていると、6時間目の終了を知らせるチャイムが鳴った。


終礼が始まる。

私はいそいそと帰る準備をする。
それと共に速まる鼓動。

ドキドキが止まらない。


「前川」

ハッとして振り向くと、加藤くんがこっちを見ていた。


「何か急いでいるの?」

「え、そんな事ないよ!」

明らかに急いで片付けていたくせに、平然を装うとする私。


「ふーん。この後さ、少し時間ある?」

「この後?えっと…今日は…」


どうしたんだろ。
しかも今日に限って。
今日は大切な日だから…申し訳ないけど…


「5分でも良いんだけど」

少し強めな言い方に断り方を迷ってしまう。
ちゃんと断れない優柔不断な自分にイラッとした。


「今日は大切な用事があるの。ごめんね。明日とかでもいい?」

言えた!



「大切な用事か。。。」

少し間が空いてから


「また誘うな」

そう言ってニコッと笑った。


よかった、いつもの加藤君だ。


「何か用事があったかな?委員会の事とか?」


「いや、気にしないで♪」


結局、理由はわからないままだった。