「ルウはいいんだよ。いっぱい食べても。成長期なんだから」

「誰も食べるなとは言ってない。抱き心地がよくなるな」

「ん、もう~」

「で、なんの映画見たんだよ」

「暗黒お兄ちゃんがいなかったから、めっちゃ恋愛のやつ」

「めっちゃ恋愛のやつ~?」

「素敵なラブロマンスだったよね。ルウみたいに可憐な女の子が主人公で、先生と恋に落ちるんだ」

「先生、聖お兄ちゃんに似ててカッコよかったな。聖お兄ちゃんの方がカッコいいけど……」

「お世辞でも嬉しいよ」

「お世辞じゃないもん~!」

 本当に俳優さんよりカッコいいんだもん……。
 見つめ合って微笑み合ってたら、暗黒お兄ちゃんが割り込んできた。
 
「じゃあ、ダークマンレジェンドは見てないんだな?」

「だって暗黒兄、怒るでしょ~」

「当然! 抜け駆けは許さない。じゃあ飯食ったら行こうぜ」

「えーまたぁ?」

「聖とだけデートとかふざけんなよ」

「行くなら、僕も行くよ。昨日、暗黒が不在だったのは君の用事。土曜日のルウを独り占めしちゃダメだよ?」

 聖お兄ちゃんが、穏やかに笑った。
 穏やかだけど、ちょっと怖い。
 暗黒お兄ちゃんにはこうなんだよね。

「ふん、まぁルウは俺とお前のものだからな」

「そうだよ。二人のものだ」
 
「むぐっゴホゴホ」

 ミルクティーでむせそうになる。
 そうなの。私はただの普通の人間の女の子なのに……お兄ちゃん二人は何故か私を溺愛してくるんだよね。
 ……妹……だからだろうけど……。
 
「可愛いルウ、映画楽しみだな」

 暗黒お兄ちゃんが私の髪をすくって、髪にキスをする。

「今日はどんな服を着ていくのかな?」

 聖お兄ちゃんが私の左手をとって、手の甲にキスをする。

 な、なんか……これって、兄妹の距離感で……合ってるんだよね??
 ドキドキしちゃう。