聖お兄ちゃんに病院へ運ばれた私。
 そこは秘密裏に、政府が人間界にいる天使や悪魔のために運営されている病院なの。
 私はそこの特別室で、ニ泊も検査入院することになった。
 多分、お兄ちゃん達も対応で忙しいから一人で置いていけないって意味もあると思うんだけど……。

 実際は怪我なんかしていなくって、おしりや足に泥がついた程度。
 過剰なまでに問診や、レントゲンや、採血したりされっちゃった。
 
 夜には二人からの遠隔結界に守られて、私はぐっすり眠ることができた。
 
 朝にはお見舞いのプレゼントが、病室に山のようになってて!
 次の日のお昼には、更にプレゼントが増えていた……。
 もちろんお兄ちゃん達からのね。

 そして……夕方。

「ルウ」

「ルウちゃん」

「お兄ちゃん達!」

 私はもう元気だからベッドから飛び出ようとしたんだけど、二人に止められた。
 二人に左右から手を握られて、私は御礼を言う。

「暗黒お兄ちゃん、大丈夫だった?」

「楽勝だ。雨塚のオンナもすぐ助けたし、威苦ロ寿(イクロス)十三隊は全滅させた」

「ぜ……全滅! 怪我はない?」

「とーぜん。聖も合流したしな。大暴れしてやったぜ」

「すごい……」

 ちょっとイクロスさん達に同情……はしないけど、やっぱり二人はすごいな。
 夜中じゅう、ずっと戦ってくれたんだよね。

「んで、面会だよ。ルウちゃん」

「え?」

 ドアがノックされて、二人入ってきた。
 雨塚君と……可愛らしい女の子。

「あの……紗倉さん、この度は本当に……申し訳ない事を致しました!! 申し訳ありませんでした!」

 雨塚君が部屋に入るなり土下座して、女の子も一緒に床に!

「彼がした行動は私のためなんです……! 彼と一緒に罪を償いますので、どうかお許しください!」
 
「や、やめてやめてー! 雨塚君! それに幼馴染のエミリちゃんだよね!? そんなことしないで!!」

 お兄ちゃん二人が、二人を立ち上がらせる。
 
「無事で良かったんよ~~」

 私が微笑んでも、二人はまだ笑わない。

「紗倉さん、僕は本当に酷い事を……君のお兄さん達にも……取り返しのつかない事をしてしまった……」

「おい、ナビキ。その事についてはルウに謝って許してもらえば、もう不問だと言っただろう。お前の証言で奴らの隠れアジトが殲滅できた。おかげで威苦ロ寿(イクロス)・ニ番、六番、九番の残党も始末できたしな」

 そんなにやっつけたんだ……。
 雨塚君も、頬に傷を負ってる。

「雨塚君、怪我は大丈夫?」

「聖さんが治してくれるって言ってくださったんだけど……これは僕の罪の重さだと思って一生背負っていくよ」

「……そんな……雨塚君も被害者だよ。脅されていたんだもん」

「ルウ、こいつには、罪を背負う時間も必要だ。そーですか! ってすぐ立ち直るようなら、俺からの制裁があっただろうしな」

「私にも……罰をお与えください」

 エミリちゃんが涙を拭きながら言った。