「なに友達面してんだよぉ~? 可哀想なお嬢ちゃんを騙した張本人だろうが~!」

「それは……! じゃあ早くエミリを離してくれ! 無事な姿を見せろ!」

「雨塚君! どういう事なの!?」

 口は塞がれていなかったから、私は叫んだ。

「……ルウちゃんごめん……幼馴染がこいつらに拐われて……言う事を聞くしかなくって……」

「……雨塚君……」

 そうだったんだ。
 雨塚君の言ってた、大好きで大事な幼馴染。
 その子を人質にして、雨塚君にこんな事をさせたんだ!
 
「雨塚君はあなた達の言う通りにしたんでしょ!? じゃあ雨塚君をどうして縛るの!? 早く幼馴染と一緒に帰してあげて!」

「……ルウちゃん……」

 雨塚君の綺麗な顔が、悲しい顔になった。
 ……大事な人のためだもんね? わかるよ雨塚君……。

「勇敢なお姫様だねぇ~~。ダメダメ! こいつは悪魔だけど天使のふりもできて、今回みたいに利用できる! ずっと俺等のために働いてもらうよ~!! 幼馴染のオンナももちろん、このまま利用させてもらう!」

「……貴様ら!! 騙したな!! ふざけるな!! 彼女を解放しろーーー!!」

 雨塚君が叫んで、男に殴られた!

「きゃああ! やめて!」

「うるせーぞ! お前ら! お姫様もよぉ~ずーっと使ってあげるからなぁ~!」

「あなた達は一体なんなの!? どうしてお兄ちゃん達を……」

「邪魔だからに決まってんだろーー!? 俺等、威苦ロ寿(イクロス)十三番隊はなぁ~! 天使の味方するような、暗黒(アンク)なんかは許せねぇ! 同じく(ヒジリ)もなぁ! 天使が悪魔界に干渉するなぁ!」

 イクロス……。
 暗黒お兄ちゃんが、いつか言ってた気がする……。

「今、お前の兄ちゃん達に連絡したからなぁ~! 武器も持たずに身一つで来いって命令だ!」

「そ、そんな……」

 雷が鳴り響いて、雨がすごい。
 割れた窓ガラスから見える外は真っ暗だ。
 
「武器も無しで……お兄ちゃん達……来ないで……来ないで……」

 どうしよう、私のせいで……。
 緊急事態は届いちゃってるよね……お兄ちゃん達が来たらどうなってしまうの!?
 泣いてる私を見て、悪魔達は笑った。

「可愛い可愛いルウちゃん~~お兄ちゃん達が来たら、可愛い姿をいっぱい見せてあげようか」

「やめろ! 彼女を傷つけたりしない約束だ!」

「うるせぇ! ナビキ! お前は黙ってろ!」
 
 縛られた雨塚君がまた殴られた!
 酷い……!
 泣いてるばかりじゃダメだ!
 どうにかしないと……。
 でも、腕は後ろで縛られて……動けない……。
 私には武器もない……。

「おい! 来たぞ!」

「……お兄ちゃん達、来ちゃだめーーー!」

 合図で倉庫のドアが開かれた。
 私のお兄ちゃん達。
 聖お兄ちゃんと暗黒お兄ちゃんが雨に濡れて私を助けに来てくれた……!

 でも、危ない!!