「今度見においでよ」
「行きたいな」
「是非」
生き物大好きだから、見に行きたいなぁ~~!
それから雨塚君とは、ちょっと駅前のベンチに座って動物の話をして楽しい時間を過ごしたの。
天使の聖お兄ちゃんにやっぱり似てるなぁ。
雨塚君ってもしかして天使? なんてね。
「今日はありがとう。この街は楽しそうだね」
「うん! 楽しいよ!」
「じゃあ、また明日ね。ルウちゃん」
SNSアカウントも教えちゃった。
こんなに話しやすい男の子って初めてだ~。
今日はお兄ちゃんが帰りが遅かったので、私が夕飯を作った。
「お、生姜焼きかー? やるじゃん」
「えっへん!」
「でも、味噌汁の豆腐がグチャグチャだな~」
「だ、だってぇー!」
手の上でなんか切れないもん!
「ふふ、お前の味噌汁が地獄一美味い」
「褒めてるの~!?」
「褒めてるに決まってだろ! おらおら!」
「きゃー! 負けないよぉー!」
ソファできゃあきゃあしてから、暗黒お兄ちゃんと夕飯を食べた。
「今日は一緒に寝るか?」
「だ、大丈夫」
「そうか~? もう怖くないか」
「うん……もう怖くない」
この家に引っ越してきたばかりの頃は、家が広すぎて……ちょっと怖かったの。
だからいつもパパとママのキングサイズベッドで、三人で寝てたんだよね。
半年前の事だけど……思い出すとちょっと恥ずかしいな。
「じゃあ今から『怖すぎる話』動画を見るかーー!」
「や、やだーー! 怖いのいやー!」
「なんだよ! この霊魂トンネルの正体! 見ようぜ」
「いやいやいや~~!! じゃ、じゃあイグアナ動画見ようよ、お友達に飼ってる子がいるんだって」
「お、いいな」
ホッ……!
それから二人でイグアナ動画を見ていたら、聖お兄ちゃんも帰ってきた。
「へー転校生か。仲良くなれるといいね。うん、生姜焼き最高だね」
聖お兄ちゃんも嬉しそうに喜んで、生姜焼きを食べてくれる。
「うん、仲良くなれると思う。聖お兄ちゃんみたいに天使みたいな子」
「ん? 僕?」
「まさか、男か?」
「えっ? うん……そうだよ」
二人共、男の子だとは思わなかったみたい。
ん? 二人から何かドス黒いオーラのようなものが……!?
「お友達と仲良くする事はいいことだけど……男の子が相手ならほどほどにね……?」
天使な聖お兄ちゃんが微笑んでるのに、何か背後で渦巻いてる!?
「俺の妹に手を出したら(ピーーーッ)って言っておけ……ルウ……」
こっちは殺意を隠すつもりもないよぉ! 危険な事言ってる!
「本当にただのクラスメイトだってばーーー!!」
その日は暗黒微笑の聖お兄ちゃんと、物騒な事ばかり言う暗黒お兄ちゃん。
なんだか危険そうな感じがしたから、久しぶりに二人と一緒に眠った。
二人の香水が、いい香り。
聖お兄ちゃんは、シャボンのようなお花のような優しい香り。
暗黒お兄ちゃんはムスク? スパイシーでちょっとセクシーな香り。
二人のぬくもりに包まれて……ぐっすり眠っちゃった。
そして次の日は、お弁当の日だった。
聖お兄ちゃんが送り際に、お弁当を渡してくれたんだけど……。
「ルウのお弁当……すっごい!」
愛妻弁当ならぬ、愛兄弁当がすごかった!!