「絢人先生は大丈夫だよね? ちゃんと生きているよね?」
「安心しろ。息をしてる」
やっぱり視線をそらされてる。
「このまま目を覚まさないってことは……」
「極度のラット状態にまで陥ったんだ。薬を飲ませたし、じきに目を覚ます」
「ほんと?」
「その時には痛みも消え、学園一優しい理科教師に戻っているだろうな」
そっか、良かった。
良かったけど……
安心感の後のみこまれた、罪悪感の波。
私はしゃがんだまま瞳を陰らせ、抱え込んだひざに顔を押し当てる。
目を覚ました時に、絢人先生は覚えているのかな?
オメガフェロモンでラット状態になって、私の首を噛もうとしたこと。
人一倍心優しい絢人先生のことだから、先生をやめるって言いだしそう。
生徒を恐怖に陥れてしまった、責任を取らなきゃって。



