ドロ痛α様に狙われて


 私に絡めていた腕をほどいた東条くん。


 あれ?

 私の告白、スルーされちゃった?

 
 悲しみに襲われた私を置き去りにするかのように、気絶しているい先生の前に進んだ。


「痛い思いをさせて悪かった」


 苦しそうな顔で、絢人先生の前にしゃがみこむと


「緊急時用の抗フェロモン薬。口に含んだだけでも即効性があるから」


 ポケットから取り出した薬を、意識なく倒れている先生の口に押し込んでいる。


 先生を介抱する東条くんを見て、気づいてしまった。

 とんでもない自分の過ちに。

 東条君に抱きしめられて、舞い上がっていたせい。

 倒れている先生の存在をすっかり忘れ、幸せにつかりきり、告白までしちゃったけれど……


 人間としてありえないよね。

 歌夜は優しさのかけらもないオメガだ。

 東条くんにがっかりされたのかもしれない。

 私が告白してから、東条くんは私の顔を全く見てくれなくなっちゃったし。


 私も慌てて、先生の前にしゃがみこむ。

 隣にしゃがみこんでいる東条くんに、心配声を漏らした。