ドロ痛α様に狙われて

 

 気絶した先生が心配で、椅子から立ち上がった私。

 駆け寄ろうとしたけれど、それは無理。

 すでに私の体は、大好きな甘いフェロモンにつつまれていて。

 「いつまで先生のことを見てるわけ?」

 「え?」

 「独占したい女の瞳に映っているのが別の男って、許せないんだけど」


 逃がさない。

 そう言わんばかりの力のこもった腕に捉えられ

 
 バックハグ状態、無理だってば……


 まるで私のハートが、イタズラにいじめられてしまっているかのよう。

 飛び跳ねる私の心臓の負荷は、極限値を叩きだしてしまっている。


 「ごめん歌夜、助けに来るのが遅くなった」


 後ろから抱きしめながら、私の肩に顔を乗せないで。


 「歌夜が、絢人先生と(つが)ってなくてよかった」


 波打つ漆黒の髪に、私の頬がくすぐられて。

 宝物を抱きしめるように、筋肉のついた腕で優しく抱きしめられて。

 怖いくらい幸せを感じてしまい……


 「登場かっこよすぎだよ……東条くん……」
 

 胸元に絡む東条くんの腕に、私は自分から火照った頬を押し当てちゃった。