ドロ痛α様に狙われて


 再び私の首に歯が沈んだ、まさにその時


 ――ガラガラガラっ、ドン!


 暴れるような豪快音が、部屋中に鳴り響いた。


 音の出どころは、私の後方にある引き戸で間違いない。

 何が起きたの?と振り向きたいけれど、物理的に無理。

 椅子に座ったままの私の肩は、絢人先生に掴まれている。

 目視確認なんてできない。


 次に耳に飛び込んできたのは、床を踏み鳴らす足音。

 ガツガツガツ。

 あまりにも乱暴に響くから、私の体がすくんでしまう。


 そんな乱暴音が、私のすぐ後ろでピタッとやんだ。

 数秒の無音空間。

 切り裂くように私の背後から伸びてきたのは、ゴツゴツした手のひらで。

 その手に肩を押された先生はバランスを崩し、後ろに数歩よろけ。

 今度は私の後ろから長い足が伸びてきて、絢人先生のお腹に食い込んだ。


 見とれてしまうほどの綺麗に決まった足刀(そくとう)は、人体を簡単に吹き飛ばすほどの威力を秘めていたらしい。

 床に叩きつけられた絢人先生は、気を失ってしまったんです。