ドロ痛α様に狙われて


 えっと。

 なんて言っていいかわからない。

 ここは適当にごまかそう。


 「私はただ、世界中の人が解けない難問に挑みたくなっただけで……好きな人がいるわけでは……」

 「私が何度もお伝えしていることを、歌夜さんお忘れですか?」


 あれ?
 
 絢人先生、怒ってる?


 椅子に座ったまま、私の両肩を掴んできた。

 凍りそうなほど冷たい視線を、私の瞳にダイレクトに突き刺してくる。


 忘れていない。

 もう耳タコだよ。


 『卒業するまで、誰のものにもならないでください』


 陽だまりのようなおっとり声で、今まで何度もささやかれたけど。


 絢人先生が私に構いたくなってしまうのは、私のオメガフェロモンのせいでしょ?

 好きだからじゃないでしょ?


 それに私は野いちご学園の生徒。

 卒業しても、絢人先生の教え子という立場は一生変わらないと思うし。