ドロ痛α様に狙われて


 うわぁぁぁぁ……

 あっちゃんが背中を押したせいじゃん!


 私の右半身は、絢人先生の体に押し当てられていて

 「ごっ、ごめんなさい」

 私は慌てて、絢人先生の胸元からスルっ。


 でも絢人先生は冷静で。

 おっとり笑顔を崩してはいなくて。

 自分だけが心臓を爆つかせているこの状況に、ゾワゾワゾワ。

 恥ずかしさがこみあげてきてしまう。


 コロ付きの座面が回転する椅子に、腰かけた絢人先生。

 「歌夜さんもどうぞ」と、向かいにある同じ椅子をすすめてきた。


 狭めな部屋に二人だけ。

 机なども挟まずの対面状態。

 すすめられたまま椅子に座ってみたけれど、なんとも居心地が悪くてたまらない。

 メンタルバロメーターである私のポニーテールが、小刻みに揺れてしまう。

 あっちゃん、せめて部屋のドアを開けっぱなしにしてくれればよかったのに!