ドロ痛α様に狙われて


 28歳って言ってたから、17歳の私より10歳以上も年上。

 でも、先生っぽい威圧感はない。

 アルファっぽい自信過剰さもない。

 お花畑で指に止まるチョウチョを見て微笑んでいそうな、心清らかなおっとり先生なんだ。


 『卒業するまでは、誰のものにもならないでくださいね』と、私だけに聞こえるように甘い声で囁くところだけは、先生としてどうなのって思っちゃうけれど……

 それは私のせいだよね?

 絢人先生はアルファだもん。

 私からちょっとだけこぼれているオメガフェロモンに、惑わされてしまうんだよね?


 絢人先生には一生いい先生でいて欲しいから、私は自分から絢人先生に近づかないようにしていたのに。

 あっちゃん、なぜ私を理科準備室なんて場所に連れてくるかな?

 ……って。

 プチパニックを起こしている間に、絢人先生が私たちの前まで到着しちゃった。


 「先週から臨時で3年生の生物の授業を受け持っていますが、私の説明でわかりにいところがありましたか? 遠慮なく質問してくださいね」