ドロ痛α様に狙われて


 私には母親がいないし。

 でもお母さんが離婚せずに家にいたとしても、気軽に恋愛相談ができる間柄じゃなかったな。

 恋愛相談なんてしたら

『恋にうつつを抜かしていないで、とにかくピアノを弾きなさい!』

 と、怒鳴られたに違いない。


 ……って、なになに?

 今度はあっちゃんが、強引に私の腕を引っ張っているけど。

 戸惑う私を引き連れながら、階段を上り始めちゃったけど。


 「あっちゃん、どこに行くの?」

 「私の密かな推しのとこ」

 「……推し?」

 「うちの学園の生徒たちって、カヤとどのアルファ様がくっつくか予想してる人多いけど。やっぱ年上しか勝たん!」


 アルファで年上って……

 この学園に1人しかいらっしゃらないんですけど……


 「着いた着いた。失礼しまーす」