ドロ痛α様に狙われて


「歌夜」

「……」

「抱きしめられながら見上げるな。食われるぞ俺に」


 だっだから、そういうのが無理なの///

 悪っぽく目を吊り上げながら、私だけに心を許しているかのように微笑んで。


 恥ずかしさの限界値をゆうに超えているし、見上げるなって言われたからうつむいたのに……


「もっと歌夜の顔を見せろ」


 バックハグ状態のまま、強引にあごクイされたかと思ったら


「俺好みに育つとどれだけ危険か、教え込まないといけないな」


 熱のこもった目を私の瞳に突き刺し、お互いの視線を溶け合わせようとしてくるし。


 見つめるな。

 顔見せろ。

 真逆の要求を、悪甘な声で紡がないで。


 東条君のアルファフェロモンに、オメガの私が充てられているからだと思うけど。

 私の胸がキュンキュンうなりだして。

 溶けるように脳がぼーっとしはじめて。

 難しいことなんて、何も考えられなくなっちゃう。