ドロ痛α様に狙われて



 物心ついた時から、私はピアノ漬けの毎日だった。

 友達と遊ぶことも許されない。

 マンガもゲームも禁止。


 『ピアノコンクールで娘に最優秀賞を取らせる!』


 私を日本一にするのが、お母さんの夢で。

 怒号が突き刺さるスパルタ練習の日々。

 涙をこらえながら耐え、私はがむしゃらに鍵盤を叩いてばかりいたのに……


 どんなに頑張っても、ピアノコンクールでは本選出場止まり。

 自信と才能あふれるアルファ達には、一度も勝てなくて。

 お母さんは私に失望するばかり。


 『ここまでしてあげてるのに、なぜ最優秀賞がとれないの!』

 『練習量が足りないんだわ。アルファの10倍はピアノを弾かせないと』

 『いくらあなたにつぎ込んだと思ってるの? 結果を出しなさい、結果を!』

 『もう限界だわ。歌夜に期待するのはやめる!』


 私が中3の時、お母さんはついに家を出て行った。

 甘え盛りの幼稚園児だった弟の京夜も、置き去りにして。