「高校に入学してからずっと考えていた。なんで俺はこんなにも、歌夜に惹かれるんだろうって」
「……」
「他の女の声は耳に届かなければいいと拒絶するのに、無性に歌夜の声が聴きたくなる時があって。フェロモンがかぎ取れないくらい遠くにいるのに、歌夜が瞳に映っただけで抱きしめたくなって」
「……」
「女から好きって言われるたびに、『好き』って言葉の薄っぺらさが大嫌いだったけど。最近やっとわかったんだ。俺は好きという言葉が嫌いなんじゃない。歌夜だけに言われたい特別な言葉なんだって」
「……東条くん」
窓際にたたずむ私の左手はいまだ、東条くんのぬくもりに包まれたまま。
東条くんは、恋人繋ぎ状態の私たちの手を上にあげると
まぶたを閉じ、そっと私の手の甲にキスを落とした。
「オメガじゃなくても、歌夜を愛しているから」
東条くんはまるで、姫に求婚する騎士のよう。
凛とした瞳を私に突き刺し、ワイルドに微笑んでいる。



