「母親に怒鳴られても、歌夜は優等生みたいな顔を作ってて。ごめんなさい、これからも必死にピアノを練習しますって、母親に頭を下げてて」
「心から反省してますって態度を見せないと説教はいつまでも続くって、わかってたから」
「母親がいなくなった後、しゃがみこんだ歌夜が泣き出したんだ。俺はそれを陰から見ていて。生まれて初めての感情に襲われた。こいつの涙を、俺がぬぐってあげたいって」
……そう……だったんだ。
嬉しいな。
大嫌いなピアノを頑張っていたからこそ、東条くんの瞳にちゃんと私が映ったんだね。
「俺が高校受験で野いちご学園を受けることにしたのだって、歌夜が受験票を出すって情報が入ってきたからだし」
「えっ? 嘘……だよね?」



