理科準備室は2階。
3年の教室とは別フロアだし、けっこう離れている。
それなのに私のフェロモンがわかったなんて……
「東条くんがアルファだからかな?」
それともアルファはみんな、遠くにいるオメガのフェロモンを嗅ぎ取れちゃう特殊能力を備えているのかな?
――東条くんだけが、私の特別だったらいいのに。
なーんて。
先生がまだ目覚めていないこの状況で、自分のことばかり考えちゃうなんて。
本当に私って性格が悪い。
私の醜さが東条くんにバレて、愛想をつかされちゃったに違いない。
だから告白の返事がもらえないんだ。
東条くんは私を置き去りにして歩き出した。
腰高の窓を開け、無表情のまま外を眺めている。
私は重い腰を上げ、東条くんのそばまでソロソロソロ。
隣に並ぶ勇気がわかなくて、3歩後ろから私も窓の外を眺める。
教室に入り込む心地いい春風。
東条くんの黒髪が優雅になびいていて、私は彼から目が離せない。
俺様で自信家の総長様が見せる、切なげな表情。
彼を瞳に映すのが辛くなってきちゃったな。



