背後から声をかけられたので、私が振り返ると。
そこには、陸斗くんが立っていた。
「あっ、希空ちゃん……」
私を見た陸斗くんは、少し気まずそうに微笑む。
そんな彼を前に、私の胸の鼓動もわずかに速まる。
図書委員の当番は1ヶ月で交代のため、失恋したあの日以降は他のクラスの人に変わっていたから。
陸斗くんとこうして話すのは、あれ以来数週間ぶりだった。
「久しぶりだね。はい、ハンカチ」
陸斗くんが私の落としたハンカチを、手で軽くはらってから渡してくれた。
「ありがとう」
陸斗くん、相変わらず優しいな。
「あのさ、希空ちゃん。あの日言えなかったんだけど……僕のこと、好きになってくれてありがとう」
「ううん。私も突然、告白しちゃってごめんね」
私、今ちゃんと笑えてるかな?
「そういや希空ちゃん、最近海斗とよく一緒にいるよね。前と違って仲良くしてるみたいで、僕も嬉しいよ」
「……っ」
陸斗くんの言葉に、胸がまた疼いてしまう。
最近は、陸斗くんとのことも少しずつ思い出になりつつあると思っていたけれど。
やっぱり本人を前にすると、まだダメみたい。