暴走族…たしかに、最近クラスの人たちも、先生たちもそんな話してたな…
それよりも、被害にあった人は大丈夫かな…
襲われたって、きっと殴られたり、蹴られたりしたんだよね…しかも入院まで…
その人の事を考えると、胸が痛くなる。

…って、そんな事考えてたら、時間が無くなってきてる…?!
早く学校行かないと!
私は少し早歩きで学校まで向かった。


「ふぅ…ギリギリ…かな?」

なんとか学校に着いて、まだ誰も来てないことにホッとする。
とりあえず、荷物を机に置いて、先生の所へ行こう。

ガラガラガラ

自分の机に向かおうとした時、扉が音を立てながら開いた。
えっ?!びっくりした…!
扉の方向を向いたら、そこにはよく知っている人が立っていた。

「あれ、松田さん。おはよう、今日早いんだね。」

「久我くん!おはよう。」

この人は、久我 陸斗(クガリクト)くん。
同じクラスの男の人で、私の仕事も手伝ってくれる優しい人なんだ。周りからも信頼が厚くて、すごい人気者なんだ。

「松田さん。もしかして、先生からなにか頼まれたの?」

「うん。金曜日に、今日早く来てって言われて。今から職員室に行って先生に聞きに行くところなんだ。」

そう言うと、久我くんは「委員長はやっぱり大変だね」とすこし乾いた笑みを浮かべながら自分の机に荷物を置いた。

「久我くんは、いつも早いの?」

私がそう聞くと、うーん、と少し悩んで、口を開く。

「家にいるより、学校にいる方が落ち着くんだよね。だからちょっと皆より早く来てるんだ。」

「その気持ち、私もちょっと分かる。学校って落ち着くよね」

言葉で表しづらいけど、なんて言うんだろう。家とは違った雰囲気が、何気に好きだったりするんだよね。

「ふふっ、やっぱり。少しだけ、松田さんには分かってくれるって期待してたんだよね。」

え?分かってくれる…?

「こういうことを言うと、大抵の人は笑ったり、「おかしい」って言ったりするんだよね。」

そう太陽みたいに微笑んだ久我くん。

…やっぱり、久我くんって、顔がすごい整ってるなぁ…