♢♢♢

「…」

朝ごはんがほとんど完成した頃、後ろに気配を感じた。

「秋夜、くん?」

そこに立っていたのはパジャマのままの秋夜くん。

どうしたんだろう。

「…べつに」

秋夜くんはリビングへ行ってしまった。

なんだったんだろう。

「みーわちゃん!おはよー」

後ろから抱きついて来たのは春樹くん。

寝起きなはずなのに元気いっぱいだ。

「おはよう。春樹くん」

「何作ってるの?」

春樹くんの顔が近くて、耳に吐息がかかる。

「っ、…あさ、ごはんだよ」

「作ってくれたのー?」

私の頭に春樹くんの顎が乗った。

「う、うん、」

「やったぁー!楽しみー!」

春樹くんが私を抱きしめる腕を強めた。

私の心臓がドキドキうるさい。

春樹くんに聞こえちゃうよっ!

「…はよ」

春樹くんに抱きつかれたまま無理やり後ろを向くと夏葵くんがいた。

「夏葵くん、おはよう」

夏葵くんは髪までしっかりセットされていていつも通りだ。

「あれ?、冬真くんがいない?」

冬真くんなら1番に起きてきそうなのに、いない。

まだ寝てるのかな…?

「冬真はいっつもギリギリで起きてくるんだよー」

「あいつ寝るの好きだからな」

そう、なんだ。

なんだか意外だ。

「でもそろそろ遅刻しそうだから、僕起こしてくるー!」

「まって、私が行くから春樹くん達はご飯食べてていいよ」

ご飯の準備は終わったし、私はあと朝ごはんを食べれば学校に行ける。

「…えー?冬真んとこ行かないでよー。僕とごはん食べようよー」

ん?

どういうこと?

冬真くんのところに行っちゃダメなの?

「おまえどんだけ鈍感なんだよ」

夏葵くんまで…

「…?とりあえず、冬真くん起こしてくるね」

春樹くんのウルウルした目は見なかったことにする。