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「お母さん!起きて!」

今日はお母さんが出張に行ってしまう日。

飛行機の時間は午後だけど、午前にも予定があるみたい。

「お母さんの朝ごはん食べちゃうよ!!」

お母さんの目がパチリと開いた。

「おはよう。美羽」

「お母さん、おはよう」

お母さんは昨日の夜遅くまで、出張の準備をしていた。

「朝ごはん、冷めちゃうよ」

「美羽のご飯はおいしいものね~」

お母さんは料理、というか家事があまり得意じゃない。

だから、だいたいの家事を私がやっている。

「あ、美羽もちゃんと用意できてるわよね?」

用意?

お母さんを見送りに行く用意ならできてる。

「制服も忘れずに持って行きなさいよ。学校行けなくなるわよ」

え?

制服?

私、どこいくの?

「あれ、行ってなかったかしら。美羽は今日から半年間、シェアハウスに住んでもらおうと思っているの」

「えぇー!!」

シェアハウスって知らない人と一緒に暮らすやつだったはずだ…

「大丈夫よ。美羽が行くシェアハウスにいるのは全員高校生だし、みんな良い子達だから」

「そう、なんだ」

全員高校生なら少し楽しそうだ。

「美羽は寂しがり屋でしょ?家で一人だと寂しいかと思って」

う…、間違ってない…

「はーい…準備してくる」