「おいで、オティリエ」


 もう一度うながされ、指定された席へと座る。そして、ヴァーリックが座るのを見届けてから、他の補佐官たちが席についた。
 全員が着席するのを見計らって侍女たちがやってくる。すぐに食事の準備がはじまった。


「そのドレス、とてもよく似合っているね。……可愛い」


 と、ヴァーリックがオティリエに声をかける。完全に油断していたため、オティリエは一層ドキッとしてしまった。


「ありがとうございます。カランが選んでくれたんです」


 ヴァーリックに褒めてもらえたことが嬉しい。だが、その分だけ恥ずかしく、彼の顔がまっすぐに見れない。真っ赤に染まった頬を隠しつつ、オティリエはやっとの思いでお礼を言う。


「隠さないで。もっとちゃんと見せてよ」

「え? む……無理です。私、今顔が真っ赤になってて、ヴァーリック様にお見せできるような状態じゃとてもなくて……」


 座っていることすらやっとなのに……オティリエは心臓をなだめつつ、必死に深呼吸を繰り返す。