捨てられたはずの私がクールな御曹司に溺愛される話。

「用がないなら帰るぞ。」

後ろを向いてドアに向かいかけた時、親父の止めの声が入った。

「まあまあ、落ち着いて。久しぶりに会えたんだしそこに腰掛けてくれ。」

そう言われたので仕方なく社長用のデスクと椅子の前にある向かい合わせに置かれたソファの片方に座った。

親父も椅子からおりてもう片方のソファに腰掛けた。

「早速だが、蓮は恋人とかはいないのか。」

またその話か。

「その話ならもううんざりだ。帰るぞ。」

立ち上がった俺に親父は言った。

「高校2年に入ってすぐに学園主催のパーティーがあるだろ。お前は必ず出席しなきゃいけないんだからパートナーが必要だ。そして、大学に入ったら社交パーティーへの参加やうちの会社との関わりが深い人とも会ってもらう。その時に婚約者が必要だ。」

これはずっと言われてきたことだった。

だが俺は花恋以外の女が嫌いだ。

婚約者どころか恋人すら作れない。