捨てられたはずの私がクールな御曹司に溺愛される話。

何かが落ちる音がした。

ん…?なんだろう…?

「…!!鈴!そのネックレスはあたしのものよっ!なんであんたが持っているの!」

「えっ…?ああ、これはさっき掃除している時に拾って…。」

「騒がしいわね、何があったの。」

ソファに座っていた美智子さまがこちらの様子を見に来た。

「掃除してた…」

「お母様っ!こいつがあたしのネックレスを盗んだんですっ!」

え…?

「ちっ、違います!拾っ…」

「黙りなさい!!」

あぁ…。これは何を言っても信じてもらえない顔だ…。

「花音?大丈夫?悲しかったわよね?」

「ひっ、ひどいっ…!あたし無くなってて悲しかったのに…。」

花音さまは泣いていたけど、口元は笑っていた。

「鈴!!あんたは本当にゴミのような人間ねっ。花音のものを盗むなんてどうかしてるわ。」

盗んでなんかないのに…。誰も信じてくれない。

「…ごっ、ごめんなさい…。」

「ごめんなさいで済むと思ってるの!?
住ませてやってるだけで感謝してもらいたいぐらいなのに!人のもの盗るなんて、終わってるわ!」

ガシャン!!!

近くにあった花瓶が床に投げられた。