捨てられたはずの私がクールな御曹司に溺愛される話。

優しく引っ張られた左手の手首に全神経が集中しているんじゃないかと疑うくらい意識がそこに向いてしまって何も考えられない。

私が慌てている横で蓮さんは至って冷静な感じで近くのコンセントにドライヤーを差し込んだ。

「髪乾かすからな。」

…え!?私の!?それは申し訳ない!

「だ、大丈夫ですっ!自分で出来ます!」

「いい、俺がやる。さっきは俺が折れたんだから今度はお前が大人しくしてろ。」

そう言われると何も言い返せなくなってしまった。

言われた通り大人しく座っていることにする。

ドライヤーのスイッチを入れると温風が私の髪を撫で始めた。

ドライヤーするのなんていつぶりだろう…。
前の家では使わせて貰えなかったからいつも自然乾燥だった。

人に髪を乾かしてもらうことなんて今まであっただろうか。
少なくとも私の記憶には無い。