たとえこれが、何かの罠だったとしても。

「1着、赤団、西園寺楓さん」

放送に、赤団の仲間から歓声があがった。

「相変わらず、楓は速いな…」

「先輩こそ、去年よりさらに速くなってました」

「でも、負けは負けだな」

握手を交わしてテント席に戻る。

「楓、お疲れー!めっちゃカッコよかった!」

「うんうん!惚れ惚れするよ〜」

「そ、そうかな?ありがとう!」

褒められて悪い気はしない。

「ほんと足が速いな。ゴリラみたいだ」

「なによ、澤田。澤田こそ、ゴリラみたいに足速いくせに」

彼は澤田大智。陸上部に所属している。

大会でも入賞を果たす、強力な選手だ。

「ま、まあな。俺は先輩たちからも一目置かれているスーパースターだから」

「自分で言うなし」