たとえこれが、何かの罠だったとしても。

「走ることはすきなので!」

「そうか。私も走るのが好きだからな。…やっぱり、陸上部に入らないか?まだ引退まで時間あるし、楓ならいい結果を出せると思うんだけどな」

板牧先輩からの誘いはありがたいけど、私はいろいろなことに挑戦したい。

部活に所属せず、自分でいろいろやってみたいんだ。

「せっかくの誘いですが、お断りします」

「そうか。気が変わったらいつでも言ってな」

「はい!」

先輩と話しているうちに、前の走者がスタートする。

次は私たちの番だ。

クラウチングスタートで、笛の音と同時に走り出す。

風が肌にあたって気持ちがいい。

腕を振ると、足が自然とついてくる。

やっぱり、走るのはすごく楽しい。