「た、高そうだなぁ」

 シーツも上質なものだとすぐわかる触り心地。
 とりあえず桃花は制服から服を着替えようと思った。

「いつもの服でいいのかな」

 年頃の女の子らしく、普段の服も気を遣ってはいたが……。

「あれ、このダンボール」

 ダンボールにお母さんの字で『桃花へ』と書いてある。
 開けると手紙が入ってる。
 つい、読み上げてしまった。

「……桃花へ、理事長さんからお話聞いたかな? お母さん達からお話できずにだますような事になってごめんなさい。新しいお洋服、桃花が好きな雰囲気のものを沢山買ったので送ります」

 大好きなお母さんからの手紙。

「お母さん……だますなんてこと思ってないよ」
 
 きっと心配してるに違いない。
 大好きなお母さんとお父さん。
 
「(泣いちゃ駄目……! まだ、まだ……!)」

 泣かないようにとダンボールの中を見る。
 中には可愛い服がいっぱいあった。

「わぁ! 可愛いのいっぱい! このワンピ素敵!」

 ワンピースを選んでクローゼットの鏡の前に立つ。