「俺も学園内の生徒の治安は、あんま考えた事はなかったからな……」

 紅緒が少し悩まし気な顔をした。

「そ、それは仕方ないよ。紅緒くんは蒼騎審と闘い続ける日々で、そこまで見る余裕はないと思う……」

「これからは、生徒達にも目を向けるって約束する」
 
 これ以上負担をかけさせたくないと思ったのに、そんな不安を跳ね返すような強い眼差しで紅緒が言った。

「紅緒くん……ありがとう」

「お姉ちゃんのためだね~ふふふ」

 苺がからかうようにニヤニヤする。

「そうだな」

「そこは否定しないんかよ! 総長飛鳥!」

 ツッコミも気にしない紅緒。
 茜がいたら、苺と一緒にニヤニヤして腕でグイグイつっこまれてた事だろう。

「ところで桃花、昼休みの最後に何があったんだ……?」

「あ、あの……実はね……」

 トイレで出会った少女にゲームを無理やり薦められた事を話した。