ルーチェたちがそう言うと、ヴァイオレットたちはニコリと微笑み、「こちらこそありがとう」と返す。

「私たちも会えてよかったです。世界には知らないことがまだあるのだと知りました」

ヴァイオレットがそう言った刹那、最後の一冊がハッピーエンドに書き換えられた。真っ白な光がルーチェたちを包み込み、体がふわりと浮く感覚がする。

(ああ、冒険もこれで終わりなんだ……)

安心するような、寂しいような、複雑な気持ちの中ルーチェは目を閉じた。



ヴァイオレットが目を開けると、そこはあの不思議な空間ではなく、本に吸い込まれる前にいたダンスホールだった。イヴァン、サクラ、フェリシアーノ、オリバーもいる。しかし当然ながらルーチェたちの姿はない。

「ルーチェさんたちともう少し話したかったな」

ポツリと呟いたヴァイオレットに、イヴァンが「きっとまた会えるよ」と微笑む。ヴァイオレットはルーチェたちの顔を思い浮かべた後、「そうですね」と答えた。