そう言いながら私の目の前で(ひざまず)いた幸聖さんは、手に持っていた花束を私の前に差し出した。


「知花、結婚しよう」


手渡された花束を受け取ると、しだいに目から涙がこぼれ落ちてきた。さっきから、驚きの連続で息が上手く吸えない。

まさか、私がプロポーズされるなんて、夢のようだ。


「一生大切にする。知花、ずっと俺のそばにいてくれる?」


そっと私の左手を取ると、薬指にダイヤモンドの婚約指輪が通される。


「……っ、よろしく、お願いします」
「ありがとう」


そう言った幸聖さんは、泣いている私のことを強く抱きしめた。


悠稀と別れた日、自分はもう結婚出来ないと思った。
でも、それがきっかけで幸聖さんと出会い、幸せな日常が舞い降りてきた。

彼と2人なら、これから先どんな困難が訪れても、一緒に乗り越えて行ける気がする。

そう思える、最高の相手だ。


「さ、食事にしよう。泊に聞いて、カクテルはXYZを作ってもらったんだ」


XYZーーカクテル言葉は〝永遠にあなたのもの〟


ひょんなことから始まった、私たちの関係。でもそれは、もう2度と切れることのない絆となった。

左手薬指に通された指輪が、それを教えてくれているようだ。


これからも私は、幸聖さんだけを愛していく。
永遠にーー。


*END*