私の返事に目を見開く蓮に、胸がスカッとする。
どうせ嘘だってすぐにバレると思ったんでしょ。
そんな嘘つくなんて、と笑って嗜める私はいない。
アンタの前にいるのは、嘘に気づかずに真に受けて喜ぶバカな女よ。
ぐさりと自分で刺した胸の痛みは、自業自得だ。
そして、そんな冗談のせいで、バカな女を釣ってしまった蓮も、自業自得。
きっとマズったというような顔をして、ごめんやっぱり今のは嘘だと、そう言うはずだ。
そうしたら少しだけその後悔した顔を眺めて、私も嘘だよと言えばいい。
私の胸の痛みなんて蓮にはわからないんだから、それで全てが無かったことになる。
視線を逸らさずに見つめれば、蓮の口角が微かに上がった。
「なら、今日から"お付き合い開始"ってことだな」
その意味を理解するよりも早く、蓮の顔が近づいてきた。
「…………っ」
喰われる。
本能的にそう思って、慌てて両手を突き出した。



