婚約者に捨てられた夜、八歳年下の幼馴染みにプロポーズされました。

 氷堂はプライドが傷ついたのか、翌月に自主退職した。
 横戸は「あたしと結婚するって言ったじゃない!」と怒り、氷堂を追いかけて辞めていった。
 その後のことは知らない。


 
 あれから三年。
 私と健人は実家からほど近い場所にマンションを借りて、二人で暮らしている。
 社会人三年目で二十を過ぎたというのに、帰ってくると子どもみたいなことをいう。

「ただいま、ミオー! おかえりのチューをちょうだい」
「おかえり、健人。お仕事お疲れ様」
「おかえりなさいのハグも!」

 いってらっしゃいとおかえりなさいのキスをねだる可愛い旦那様と、私は今日も幸せに暮らしている。



END