突然私の体がふわっと宙に浮いた。


いや、本当に浮いてるんじゃない。大河に抱きかかえられてるんだ。


……いわゆる、『お姫様抱っこ』をされている現状に、一気にぶわっと顔が熱を帯びる。


「ちょっ、何すんの⁉」


「あー、すみません。一葉さんに『絶対に連れて来い』と命じれてるんで」


「はあっ⁉ 何なのそれ⁉ ねえ、やだっ……! おろせっ! おろしてよ‼」


大河の腕の中でジタバタと暴れるけど、もはやただの悪あがき。


「はいはい。気持ちはわかりますけど、暴れないでくださいねー」


まるで騒ぐ子供をかついで撤収していく親のように、大河はまったく私のお願いを聞き入れてくれない。


結局、鍛え上げられた大河の腕にしっかりと抱えられた私は、校門の外に止められた車に連れて行かれてしまった。