クニチカに撮ったデータを送ってもらうと

「長くない?」
「さゆみんの勇姿入り。俺のバイブルにする」

クニチカがそう言い、きぃちゃんが小さく吹き出した。

「面白いな、三井サン」
「だね。今日のがバイブルってショボ…」
「さゆみん、初心者は一気に上級者になれないんだ。分かる?ってか、三井サンって言ってるきぃちゃんって…誰だっけ?」

少し唇を突きだしたあとで、不思議そうな表情に変わったクニチカを見る傍らで、うずくまっていた永中の3人が立ち上がる気配を感じる。

「アタシ、細谷ルミに恨まれる心当たりはないんだけど、ヤルなら自分でおいでと伝えて」

しもっちゃんが見せてくれていたから、私服の3人でも永中の東西南北だとわかった。

「あと、多和田と後藤田にも伝言お願い。偽名の罪は忘れないで…って」

こうして煽っておくと、タワゴトも自分たちから来てくれるかもしれない。3人がお腹を擦りながら公園を出て行くと

「サユ、乗れ」

きぃちゃんが私のヘルメットをポンと投げた…が、クニチカが長い腕でそれをキャッチする。

「ちょっと待って、さゆみん。きぃちゃんって誰?」
「誰って…ここにいる人…見えてるよね?大丈夫…?」