「えっと…ぇ…」

なんだなんだ?あのスカッと啖呵きって男子の腕をねじ上げるにっしなさんがモジモジってか?おいっ、これ…俺だけが見られるもんじゃなかったのか?

たくさんの男子生徒の視線が熱をおび、口と鼻を覆うようにする奴らと制服のズボンを上げ直す奴らが出てきた。

「うん…えっと、どうかした?」

それでも俺は、いつもの癖のように女の子の言葉をゆったりと待ってしまう。西名さん、どうぞ。今だよっ!!

「あのね、実は」

うん、うん。上手だよ、西名さん。その“実は”っていうワードも告白には付きものだよね。

“実は前から好きだったの”

っていうのが、テンプレ。

「ま…」

そう、前から?

「まあもう少し休む気だったんだけど…」

うん?………テンプレじゃなくてオリジナル告白?

「うん…」
「でも、迷惑掛けたっていうか、お世話になったっていうか…おかげさまっていうか…で、停学短縮されたの。あの…みんなも、メッセージで知ったんだけど、いろいろとありがとう。三井くんも、あの朝からだよね?ありがと」

三井くんも…“も”って俺はおまけ?告白はどこ行った?