「紗友美ちゃんに憧れて、キャッキャと言う子も出てくるだろうね。男女ともに」

それもそう。フミくんの言う通りだよ。

「めんど…クニチカ達は慣れてるけど…アタシは面倒だな」
「ずっと慣れなくても大丈夫、さゆみん」

俺がそう言いながらぶっといポテトをフォークで突き刺すと

「どうして?慣れなくていいならいいんだけど…」

さゆみんがナイフを置き、グラスを持って俺を見た。

「周りが変わっても、これまでのさゆみんを変えることはないってこと。それでいいと思うんだ」
「うん」
「周りが“さゆみんはそういう人だ”って理解すればキャッキャは落ち着くと思う」
「ん、分かった」
「だいたいさ、俺達が慣れてるって言うのは…例えば直季とか北中くんは煽るんだ。周りが騒がしいのを楽しんでる。直季なんか俺に“ここでキスしとく?”とか言って寄ってくるし」

ここで皆が笑い声を上げて、さゆみんだけは真顔で直季を見た。

「ごめんゴメン、西名ちゃん。もうしないよ」
「…うん?」
「ヤキモチじゃないの?」
「ヤキモチ?」

そう聞き直したさゆみんは

「わりと綺麗な絵面だと思ったんだよね…見たいワケでもないけど」

と真顔でカワボを繰り出した。ああ…ヤキモチ妬いてくれとも思う間もないくらい、マジで可愛い。