フミくんの質問に、3人の視線がユキちゃんに集まったけれど、私はそれよりも多くの視線が私達の席に向けられていることを感じていた。周りからすると、制服の高校生とツナギ姿のフミくん、それからユキちゃんの組み合わせが珍しいのだろう。

「どう?って言われても普通」
「普通?」
「そう、普通。紗友ちゃんに彼氏が出来ることも友達が出来ることも、同じレベルで歓迎よ」
「そんなもん?」
「そうよ。悪影響があるなら、こっちでさっさと潰せば済むことでしょ?紗友ちゃんは自分の感性で歩いて行くだけでいいの…って言っても今日みたいに自分で排除することもあるのよね」

ユキちゃんの言葉に

「邦親、排除されないようにな」
「直季も排除の可能性あるだろ」

仲良く二人が言い合う。

「そんなに心配はしてないわ。紗友ちゃんはちゃんとうちで何でも話してくれるからね」
「さゆみん、ここでもまだ話さないし口数は多くないけど…俺とは割と話すんだよ。それも好き」

私の右のクニチカの声で今度は3人の視線が私に集まる。

「……………ユキちゃん…ヘアゴムある?」
「あるわよぉ」

ナオキだけ異常にニヤニヤしているけれど、私の左のユキちゃんはヘアゴムを手にするとそのまま私の髪をサッと束ねた。

「紗友美ちゃんはさ、下田さんとか幸さんとかが恋愛対象になったことはないの?」
「……フミくんって…しもっちゃん崇拝とか、ユキちゃん大好きなワリには…くだらない質問するんだね…ユキちゃん、テキトーに言っておいて」