考ちゃんは本当に心配性で、私が高校進学のときも大反対された。

学校なんてどこでも良かった、ただ寮があって遠い場所。

選んだのは宮崎県、本場のチキン南蛮も食べたかったし、何より動画で観た高千穂を生でみたかったから。

なのにだ!!

考ちゃんはもううるさくて!!

自分は医者なるために、留学とか色々経験してるくせに!

私はダメなんて、どんな理屈よ!!

やっと、両親の説得で渋々おれたけどね。

家を出る日まで…まぁシツコイ。

私は不安もあったけど、なにより考ちゃんから卒業できる、忘れるための期間が出来た。

でも忘れられなかった、離れれば余計に思いは強くなって…


会いたい、声が聞きたい…


そんな毎日、自分で決めたことなのに。

そんなとき考ちゃんに彼女が出来た、今はスーパーモデルになった碧さん。

身長は考ちゃんとほぼ同じくらい、よく手入れられた腰までのストレートの黒髪にくっきり二重で吸い込まれそうなブラウンの瞳。


引き締まったウエスト、細い足。

二人が並んだ姿を見たときは、地獄に落ちた…

私は心の奥で何かを期待していたのかもしれない。


でも一気にはじけて心のヒビは止められなかった。

あれから私は心のヒビに絆創膏を貼り続けている。

☆☆☆☆☆


春は出会いと別れの季節…