「セイ、」
「お疲れ様、カナ」

夜10時。
アルバイトが終わった私を待っていたのは”青沢セイ”という唯一信頼している友人だ。
もう寝る前なのだろうか、ナイロン素材の薄目のアウターをスウェットの上から羽織り、右手には見慣れた容器が入ったビニール袋を持っている。

「タカコさんから」
「ありがとう。毎日ほんとに…」

バイトが終わる時間に合わせて作ってくれたのか、まだ少しだけ容器は暖かかった。
近くの公園に移動し、セイと2人でベンチに座る。

「今日、タカコさん気合い入ってるね…」
「明日から新学期だからって、めっちゃ揚げてた。」
「胃もたれしそう。だけど美味しそう。」
「食え食えー、どうせまた何も食ってねぇだろ」
「っるさい!いただきます!」

私は両手を合わせてから沢山の天ぷらがのった天丼を食べ始めた。
やっぱりタカコさんが作るご飯は安心感がある。
なんてったって、15歳・中学3年生までタカコさんにお世話になり続けたのだから。


「カナがあそこ出てからもう3年目になるのか。」
「早いね…」
「とか言いつつ、結構遊びに来てんじゃんな」
「結局頼りっぱなしなんだよね。」

タカコさんのご飯が美味しすぎてどんどん箸が進む。