前世へのレジスタンス

「どうした？金井。」
「こんなに笑ってるの、初めて見ました。」

流石の2人も引いている。
事の発端はまぁ、多分私…なんだけど。


「やっぱ、カナちゃん最高だ」
「はぁ？」
「ほーら、行こっ」
「行くぞー」

私は心の中で少し笑った。
こんな些細な会話だけでも楽しいのかと。
そして、少し心拍数が上がっている不思議な感覚に自分が陥っているということに。


「ん？」


自然と握られた手。

「か…」
「しーっ」

突然繋がれた手はほんのり暖かい。
丁度2人の後ろで繋がれた手は、前を歩くあの二人には見えていない。


「こんなことしても、今の私は私だよ」
「うん、知ってる。」


いつか見せたあの悲しそうな瞳。
それはどこか違う世界の”黒崎カナ”を思い出してでしょう。
今の私は、あなたの瞳にどう映っているの…

きっとこの重なった手も、別の”黒崎カナ”を思ってのことだろう。


少し心臓がチクリと傷んだ。