<プロローグ>
「ねえ明日何処に行く?」
「明日は天気が良いから遊園地でも行くか」
「うん」
私たちは大学のサークルで出会いそのまま意気投合して付き合う事になったのだが、付き合って1ヶ月が経ち彼氏からカミングアウトがあった。
「僕多分躁鬱病だと思う。病院で検査したわけではないけど、躁と鬱を繰り返してる気がするんだ。恋愛感情も安定しない。急に嫌いになったり好きなったりするかもしれないけど‥。」
「今はどっちなの?」
「鬱では無いんだけど躁でも無い。だから普通かな?」
「違うよ。私のこと好きかどうかだよ。」
「……好きだと思う。」
「それは良かった。私はさぁどんな事があっても海斗を大切に愛すから。もし鬱で私に会いたくなくても私はそれでも良い。それが海斗なんだって。そう思うだけだから心配しないで」
「ありがとう。」
「何泣いてんの?恋人ってそういうもんでしょ。」
<本編>
私たちは偶然出会った。それは運命に近い出会いだった。とても良い天気というわけでもなく、暗く曇っているわけでもない過ごしやすい気候の中僕は外に出た。普段あまり外に出ることが無いのでしっかりと下調べをして出かけた。
恋愛経験豊富ではないむしろ少ない方で、好きな人ができても自分から行動する方ではなかった。好きということを伝えたいのだけど
シャイなので話かけれない。まともにお付き合いした人はいなくて恋人の作り方すらよくわからなくなっていた。
そんな時に彼女が現れた。僕のことが好きなのか好きではないのかよくわからないけど、僕に好意があるような気がする。僕自身は好
きでもなんでも無いのだけど彼女はかなり僕のことを気に入っているようだ。
友達から「お前のこと好きなやつがおるよ。」と言われた。
その時は少しテンションが上がったが、今はそんな彼女とかそういうのはいらないなと思っていたので、もし告白されても振る予定で
いたけど。これもすべてただの強がりで人によっては告白を承諾していただろう。
結果的には告白されなかったけど、僕のことを好きでいるのに何もアクションを起こさなくてもいいのだろうかと疑問に思うが、それ
もすべて彼女が決めることで僕から何かすることはなかった。
あれから月日が経ちその彼女と会うことになった。まだ好きというわけではないけど好きになる可能性がある。最初のデートは映画に
した。久しぶりに会ったけどかなり変わっていた。垢ぬけたような気がする。そしてそれから何度かメールでのやり取りで大きなテー
マパークに行く事になったのだが、急に相手からの連絡が途絶えた。何故だ?あんなに仲良く一緒にテーマパークに行こうとしていた
のに、ここで僕が自分から連絡をしたら僕だけが求めていて相手は求めてないそんな片思いのような関係性になりかねないと思い、僕
は自分から連絡はしなかった、前々から予定していた日にちが一刻と近づいてくる。
その日当日連絡は何もない。まあこのまま自然消滅でもいいかもしれないな。
でも本当にいいのかこれで?確実とは言えないが付き合える可能性が高い子をほったらかして、こんな機会めったにない。
10か月以上連絡を取っていなかったが僕から連絡をした。食事の誘いをすると同時に体の関係になろうと提案することを心に決めてい
た。正直何を思っていたのか今思うと最低でくそ野郎だと思う。 食事をする当日、気合を入れて家を出たが急な緊張に襲われて上手く
体が動かなかった。緊張に襲われながらも集合場所である居酒屋に着いた。
居酒屋で酒とつまみを嗜み、二軒目にはバーに行った。僕はウイスキーロックとカクテルを飲み酔いが回っていたが、彼女はあまり酔
っていなかった。僕は酔いの勢いで思い切った行動に出ることにした。
僕は歩きながらどさくさに紛れて手を繋いだ。僕は恥ずかしくなり彼女の顔を見ることができなかったが彼女からの視線は感じてい
た。どこで誘おうかと考えていた矢先ホテルが横にあり僕は思わず「ホテル行く?」と聞いてしまった。元から誘う予定だったので結
果オーライと思ったが、彼女から「そういうのは付き合ってからね。」うまく交わされてしまった。だったら付き合えばいいと思った
ので、僕はその話の流れで「ちょっと好きかもしれない」と言った。
彼女は僕がかなり酔っていたこともあり、疑っていた。
「だいぶ酔ってるね。」このまま、また交わされるのは嫌だったので僕は「本気だよ。」と言った。最初は嘘で好きと言っておけば体
の関係に持ち込めると思っていたが、実際に言葉にして出すと本当に好きになった気になってしまう。いや、元から好きだったのかも
しれない。好きでなければホテルに誘おうとなんて思わないはずだ。
彼女は「ちょっと待って。座ってちゃんと話そう」
僕は脈ありだと思っていたが思わぬ答えが返ってきた。「実はいま別に気になる人がいて。その人との答えが出てから返事してい
い?」僕は考えた。どういう答えを出すが正解なのか。どっちにしろ今日はヤれない。でももしかしたら今後付き合える可能性がある
ことを考慮して相手を傷つけない返答にしようと思った。
「いいよ。待つよ。その気になっている人との答えが出てからでいいよ。」
また強がってしまった。ほんとは嫌なのに今すぐにでも付き合いたいのに。
「優しすぎる。でも好きって言ってくれたのは嬉しい。もっと早く言ってくれれば付き合えたかもしれないのに」
「どういうこと?」つかさず聞いた。
「実は6年間大好きだったの。その時は何も言わなかったから分からなかっただろうけど実はそうだったの」僕は知っていた。
「私は6年間大好きだったよ。けど今好きって言ってくれたけど大好きじゃないよね?」彼女のことが好きなんだろうけど大好き?と聞
かれれば言葉に詰まる。
メールの返信を待ち遠しく思えたり、一日中彼女のことを考えているのだから大好きなんだろうけど、初恋の時のような感情とは何か違う。
「大好きというのがどんな感じなのかよく分からないけど、好きなのは好きだよ。」
あの告白からかなり日にちが経ち一年が終わろうとしていた。彼女とはたまに連絡を取っていたがなかなか会うことはできなかったけ
どそんなある日急に連絡が来た「冬休みっていつから?」久しぶりの連絡が来てとてもうれしかった。これはクリスマスに会う約束を
すればもしかすると付き合えるかもしれない。
今は前の飲み会の時とは違う完全に好きになっているはずなのに、初恋の時のようなドキドキ感は無いに等しい、でも大好きなんだろ
うな。年齢とともに恋愛に対する感じ方が変わってくるのかもしれない。初恋のような刺激的なものをまた感じたい。感じられないだ
ろうか?好きになったのに好きじゃ無いみたいだ。彼女のことで頭いっぱいなのに...
クリスマス当日彼女とイルミネーションに行く事になった。今日こそは付き合いたいと願っている。駅で待ち合わせをして会場に向か
った。会場では何枚かのイルミネーションの写真と彼女とのツーショット写真を撮った。良い感じに二人の空間が温まったところで、
前言っていた気になる人との関係性について聞くことにした。「特に何もなかったよ。」僕は安心したこれで真正面から告白できる。
「じゃあ告白の答え聞いてもいいかな?」ずっと待ち望んでいた答えが返ってくる。
「ごめんなさい。」
「正直本気で私のこと好きになってないよね?周りに女の子いないから近くにいた私でいいやってなってるよね?好きって言うのが伝わって来ない。」
嘘だろ振られたのか?なんでだ?好きって言うのが伝わらないってどういう事なんだ。
確かに最初は好きでもなんでもないのに付き合おうとしていたけど、今は違う普通に好きなんだよ。何故伝わらない?
「後、6年間好きだったからいけると思ったのかもしれないけど、もう3年前とかの話だからブランクありすぎだよ。もう好きになれないよ。」
「そういう事なら、そっちから連絡しないでよ。クリスマスの日に僕と会わないでよ。思わせぶりな事しないでよ。」
「ごめん。」
僕は振られた。
外は寒く23時を過ぎたころ雪が降り始めた。真冬の雪の中最寄駅から家までの約1㌔歩いて帰った。
「ねえ明日何処に行く?」
明日?明日に何か予定でもあったかな? てか誰なんだ、そもそも僕に言っているのか? 「あの、どこかでお会いしたことありましたっけ?」
「今はどっちなの?」
「えっ、」
「違うよ。私のこと好きかどうかだよ。」
「そっか良かった。私はさぁどんな事があっても海斗を大切に愛すから。もし鬱で私に会いたくなくても私はそれでも良い。それが海斗なんだって。そう思うだけだから心配しないで」
「何泣いてんの?恋人ってそういうもんでしょ…」
なんだこれは夢か?それとも妄想?どちらにしろ知らない記憶だ....
目が覚めた。昨日の記憶が曖昧でよく覚えていない。なんとなく見たスマホの写真フォルダにはイルミネーションの写真だけが残っている。 別に悲しくないのに泣きたいわけではないのに何故か僕の左目からは涙が流れていた。
「ねえ明日何処に行く?」
「明日は天気が良いから遊園地でも行くか」
「うん」
私たちは大学のサークルで出会いそのまま意気投合して付き合う事になったのだが、付き合って1ヶ月が経ち彼氏からカミングアウトがあった。
「僕多分躁鬱病だと思う。病院で検査したわけではないけど、躁と鬱を繰り返してる気がするんだ。恋愛感情も安定しない。急に嫌いになったり好きなったりするかもしれないけど‥。」
「今はどっちなの?」
「鬱では無いんだけど躁でも無い。だから普通かな?」
「違うよ。私のこと好きかどうかだよ。」
「……好きだと思う。」
「それは良かった。私はさぁどんな事があっても海斗を大切に愛すから。もし鬱で私に会いたくなくても私はそれでも良い。それが海斗なんだって。そう思うだけだから心配しないで」
「ありがとう。」
「何泣いてんの?恋人ってそういうもんでしょ。」
<本編>
私たちは偶然出会った。それは運命に近い出会いだった。とても良い天気というわけでもなく、暗く曇っているわけでもない過ごしやすい気候の中僕は外に出た。普段あまり外に出ることが無いのでしっかりと下調べをして出かけた。
恋愛経験豊富ではないむしろ少ない方で、好きな人ができても自分から行動する方ではなかった。好きということを伝えたいのだけど
シャイなので話かけれない。まともにお付き合いした人はいなくて恋人の作り方すらよくわからなくなっていた。
そんな時に彼女が現れた。僕のことが好きなのか好きではないのかよくわからないけど、僕に好意があるような気がする。僕自身は好
きでもなんでも無いのだけど彼女はかなり僕のことを気に入っているようだ。
友達から「お前のこと好きなやつがおるよ。」と言われた。
その時は少しテンションが上がったが、今はそんな彼女とかそういうのはいらないなと思っていたので、もし告白されても振る予定で
いたけど。これもすべてただの強がりで人によっては告白を承諾していただろう。
結果的には告白されなかったけど、僕のことを好きでいるのに何もアクションを起こさなくてもいいのだろうかと疑問に思うが、それ
もすべて彼女が決めることで僕から何かすることはなかった。
あれから月日が経ちその彼女と会うことになった。まだ好きというわけではないけど好きになる可能性がある。最初のデートは映画に
した。久しぶりに会ったけどかなり変わっていた。垢ぬけたような気がする。そしてそれから何度かメールでのやり取りで大きなテー
マパークに行く事になったのだが、急に相手からの連絡が途絶えた。何故だ?あんなに仲良く一緒にテーマパークに行こうとしていた
のに、ここで僕が自分から連絡をしたら僕だけが求めていて相手は求めてないそんな片思いのような関係性になりかねないと思い、僕
は自分から連絡はしなかった、前々から予定していた日にちが一刻と近づいてくる。
その日当日連絡は何もない。まあこのまま自然消滅でもいいかもしれないな。
でも本当にいいのかこれで?確実とは言えないが付き合える可能性が高い子をほったらかして、こんな機会めったにない。
10か月以上連絡を取っていなかったが僕から連絡をした。食事の誘いをすると同時に体の関係になろうと提案することを心に決めてい
た。正直何を思っていたのか今思うと最低でくそ野郎だと思う。 食事をする当日、気合を入れて家を出たが急な緊張に襲われて上手く
体が動かなかった。緊張に襲われながらも集合場所である居酒屋に着いた。
居酒屋で酒とつまみを嗜み、二軒目にはバーに行った。僕はウイスキーロックとカクテルを飲み酔いが回っていたが、彼女はあまり酔
っていなかった。僕は酔いの勢いで思い切った行動に出ることにした。
僕は歩きながらどさくさに紛れて手を繋いだ。僕は恥ずかしくなり彼女の顔を見ることができなかったが彼女からの視線は感じてい
た。どこで誘おうかと考えていた矢先ホテルが横にあり僕は思わず「ホテル行く?」と聞いてしまった。元から誘う予定だったので結
果オーライと思ったが、彼女から「そういうのは付き合ってからね。」うまく交わされてしまった。だったら付き合えばいいと思った
ので、僕はその話の流れで「ちょっと好きかもしれない」と言った。
彼女は僕がかなり酔っていたこともあり、疑っていた。
「だいぶ酔ってるね。」このまま、また交わされるのは嫌だったので僕は「本気だよ。」と言った。最初は嘘で好きと言っておけば体
の関係に持ち込めると思っていたが、実際に言葉にして出すと本当に好きになった気になってしまう。いや、元から好きだったのかも
しれない。好きでなければホテルに誘おうとなんて思わないはずだ。
彼女は「ちょっと待って。座ってちゃんと話そう」
僕は脈ありだと思っていたが思わぬ答えが返ってきた。「実はいま別に気になる人がいて。その人との答えが出てから返事してい
い?」僕は考えた。どういう答えを出すが正解なのか。どっちにしろ今日はヤれない。でももしかしたら今後付き合える可能性がある
ことを考慮して相手を傷つけない返答にしようと思った。
「いいよ。待つよ。その気になっている人との答えが出てからでいいよ。」
また強がってしまった。ほんとは嫌なのに今すぐにでも付き合いたいのに。
「優しすぎる。でも好きって言ってくれたのは嬉しい。もっと早く言ってくれれば付き合えたかもしれないのに」
「どういうこと?」つかさず聞いた。
「実は6年間大好きだったの。その時は何も言わなかったから分からなかっただろうけど実はそうだったの」僕は知っていた。
「私は6年間大好きだったよ。けど今好きって言ってくれたけど大好きじゃないよね?」彼女のことが好きなんだろうけど大好き?と聞
かれれば言葉に詰まる。
メールの返信を待ち遠しく思えたり、一日中彼女のことを考えているのだから大好きなんだろうけど、初恋の時のような感情とは何か違う。
「大好きというのがどんな感じなのかよく分からないけど、好きなのは好きだよ。」
あの告白からかなり日にちが経ち一年が終わろうとしていた。彼女とはたまに連絡を取っていたがなかなか会うことはできなかったけ
どそんなある日急に連絡が来た「冬休みっていつから?」久しぶりの連絡が来てとてもうれしかった。これはクリスマスに会う約束を
すればもしかすると付き合えるかもしれない。
今は前の飲み会の時とは違う完全に好きになっているはずなのに、初恋の時のようなドキドキ感は無いに等しい、でも大好きなんだろ
うな。年齢とともに恋愛に対する感じ方が変わってくるのかもしれない。初恋のような刺激的なものをまた感じたい。感じられないだ
ろうか?好きになったのに好きじゃ無いみたいだ。彼女のことで頭いっぱいなのに...
クリスマス当日彼女とイルミネーションに行く事になった。今日こそは付き合いたいと願っている。駅で待ち合わせをして会場に向か
った。会場では何枚かのイルミネーションの写真と彼女とのツーショット写真を撮った。良い感じに二人の空間が温まったところで、
前言っていた気になる人との関係性について聞くことにした。「特に何もなかったよ。」僕は安心したこれで真正面から告白できる。
「じゃあ告白の答え聞いてもいいかな?」ずっと待ち望んでいた答えが返ってくる。
「ごめんなさい。」
「正直本気で私のこと好きになってないよね?周りに女の子いないから近くにいた私でいいやってなってるよね?好きって言うのが伝わって来ない。」
嘘だろ振られたのか?なんでだ?好きって言うのが伝わらないってどういう事なんだ。
確かに最初は好きでもなんでもないのに付き合おうとしていたけど、今は違う普通に好きなんだよ。何故伝わらない?
「後、6年間好きだったからいけると思ったのかもしれないけど、もう3年前とかの話だからブランクありすぎだよ。もう好きになれないよ。」
「そういう事なら、そっちから連絡しないでよ。クリスマスの日に僕と会わないでよ。思わせぶりな事しないでよ。」
「ごめん。」
僕は振られた。
外は寒く23時を過ぎたころ雪が降り始めた。真冬の雪の中最寄駅から家までの約1㌔歩いて帰った。
「ねえ明日何処に行く?」
明日?明日に何か予定でもあったかな? てか誰なんだ、そもそも僕に言っているのか? 「あの、どこかでお会いしたことありましたっけ?」
「今はどっちなの?」
「えっ、」
「違うよ。私のこと好きかどうかだよ。」
「そっか良かった。私はさぁどんな事があっても海斗を大切に愛すから。もし鬱で私に会いたくなくても私はそれでも良い。それが海斗なんだって。そう思うだけだから心配しないで」
「何泣いてんの?恋人ってそういうもんでしょ…」
なんだこれは夢か?それとも妄想?どちらにしろ知らない記憶だ....
目が覚めた。昨日の記憶が曖昧でよく覚えていない。なんとなく見たスマホの写真フォルダにはイルミネーションの写真だけが残っている。 別に悲しくないのに泣きたいわけではないのに何故か僕の左目からは涙が流れていた。