ぼっち美少女の桜井さんは、無口な久我くんに癒される


 さっきのような場面では、イケメンヒーローの登場で救われることはあまりない。
 大体は女子からさらに嫌われるだけというオチだ。



 女子から嫌われたって構わない、男子からモテればそれでいい、というタイプであれば問題ないだろうけど……。

 私のような、女子にできるだけ嫌われたくないタイプには地雷なんだよね。



 「やめろよ」とか「何やってんの」とか、変に口を出すこともなく……私だけを庇うようなことを言ったり、先輩たちを責めるようなことも言わずに、ただただあの地獄のような場から自然に連れ出してくれた。



 そういうトコだよ、久我くん。
 目立たなくてヒーローぽくないかもしれないけど、私にとってはめちゃくちゃカッコいいよ。
 


「そういうトコが、好き……」


 すでに1人で歩き始めていた久我くんの後ろ姿に向かって、ボソッと呟く。
 久我くんがピタリと止まり、こちらを振り向いた。


「何か言った?」

「ううん。言ってないよ」


 ニコッと笑顔を作ってごまかす。

 私の笑顔を見ても、久我くんは顔を赤くすることもなく「そっか」とだけ言ってまたスタスタと行ってしまった。



 やっぱり私に興味を持ってくれないね、久我くん。
 でもそんなトコが好きなんだから仕方ないか。



 興味を持ってほしくないのかほしいのか……。
 自分でも矛盾してるな、と思いながら、私もまた歩き出した。